思考の種は、気づきの風より先に吹く

何かを考えたと思ったときには
その考えはもう始まっている

腹が立ったと気づいたときには
すでに心も体もその反応の中に囚われている

不安になったと気づいたときには
胸のあたりはもう落ち着きを失っている

欲しいと思ったときにも
避けたいと思ったときにも
それは気づく前から
もう動き出している

自分で選んでいるつもりでも
自分で始めているつもりでも
よく見てみると
気づくより先に起きていることがある

感情も
反応も
考えも
少し遅れて
あとから気づいているだけなのかもしれない

そう思うと
自分が何もかも動かしているという感覚も
少し静かになっていく

起こそうとして起きているというより
条件が重なったところに
反応が生まれているようにも見える

見たもの
聞いたもの
触れたこと
過去に積もった記憶
そういうものが重なって
ひとつの動きとして現れてくる

そのあとで
自分がそうしたのだと思っていることも
あるのかもしれない

もちろん
だから何もしなくていい
ということではない

ただ
気づく前にすでに起きているものがある
そう見えてくると
反応のまっただ中にいても
少しだけ距離が生まれる

怒りそのものになる前に
不安そのものになる前に
ああ もう起きているのだと見えることがある

そのわずかな違いだけでも
飲まれ方は少し変わる

止めるためでもなく
正すためでもなく
まずは
気づいたときにはすでに起きている
そのことをそのまま観ていた