漫画『ONE PIECE』のジンベエの
「失った物ばかり数えるな!」
という言葉が頭から離れない
失ったものは
強く見える
なくなったもの
壊れたもの
離れていったもの
そういうものは
心の中で大きくなりやすい
だから
気づくと
失ったものばかりを数えていることがある
けれど
そのときでも
まだ残っているものある
まだ動くからだ
まだ通る息
まだ続いている時間
まだそばにあるもの
まだ手の届く景色
失ったものがあるからこそ
残っているものは
見えにくくなるのかもしれない
悲しみが消えるわけではない
なくなった事実が
変わるわけでもない
ただ
失ったものだけを見ていると
世界はすべて奪われたように見えてしまう
その中で
残っているものへ
少しだけ目を向ける
それだけで
全部が終わったわけではないことに
気づくことがある
足りなくなったものはある
戻らないものもある
それでも
まだここにあるものがある
まだ渡せるやさしさがある
まだ使える時間がある
まだ守れるものがある
失ったものを数えるほど
生きることは重くなる
残っているものを観ると
生きることは少し静かになる
今日は
なくなったものではなく
まだ残っているもののほうを
ただ観ていた
