最近
自分の心が以前よりも穏やかになっていることに気づく
何かを手に入れたわけでも
特別な出来事があったわけでもない
ただ
目の前の生命を観ているうちに
生きることへの感じ方が
少しずつ変わってきたように思う
生まれたから死ぬだけ
つい先日会った人が
重い病気であることを知った
少し驚いた
けれど
不思議なくらい自然に受け止めている自分がいた
生命は生まれ
生きて
いつか死んでいく
それは人間だけではない
夏に鳴いているセミも
庭に咲く草花も
目に見えないほど小さな生命も
みな同じ世界の中で生きている
そこに良いも悪いもない
生まれたから死ぬだけ
生きることと死ぬことは
別々の出来事ではなく
ひとつの生命に起こる当たり前の出来事
以前は頭で理解していたことが
いつの間にか
自然な感覚になっている事に気が付いた
生命に上下はない
人間は
自分の生命や身近な人の生命を
特別なものとして捉えやすい
けれど
世界の中にいる無数の生命を観ていると
自分だけが特別な存在だとは思えなくなる
セミも人間も
ただ生きている生命のひとつ
長く生きるから価値があるわけでも
短く生きるから価値がないわけでもない
それぞれが
与えられた条件の中で生きている
自分もそのひとつにすぎない
そう感じるようになってから
自分の生や死を
必要以上に重く捉えなくなった
悲しみが生まれれば
悲しみとして観ればいい
怖さが生まれれば
怖さとして観ればいい
無理に受け入れようとする必要もない
ただ
起きていることを
そのまま観ていればいい
人として生まれたのなら
生命に上下はない
けれど
それぞれの生命にできることは違う
人間には
ほかの生命の苦しみに気づき
手を差し伸べる力がある
言葉をかけることも
何かを分け与えることも
そっと見守ることもできる
自分の持っている力を
自分だけのために使わなくてもいい
余っているものがあれば
少し分ければいい
目の前に困っている生命があれば
できる範囲で寄り添えばいい
そこに義務も
見返りも必要ない
ただ
そうしたいと思ったときに
そうすればいい
人間として生まれたことに
特別な意味があるとは思わない
それでも
この力をほかの生命のために使うことはできる
それが今の自分には
自然で心地よい
穏やかさは身近にあった
最近
ほかの人の笑顔を見て
自然と微笑んでいることがある
誰かが幸せそうにしている
ただそれだけで
穏やかな気持ちになる
以前よりも
自分と他人を分けて考えることが
少なくなったのかもしれない
自分が何を得たかではなく
目の前の生命が穏やかに生きている
その光景を
そのまま心地よく感じている
穏やかになろうと
努力しているわけではない
何かを変えようともしていない
ただ
自分を中心に世界を観ることが
少しずつ減ってきた
その結果として
以前よりも穏やかな日々を過ごせているように思う
今日もただ生きている
生まれたから生きている
そして
いつか死んでいく
その間に
どれだけのことを成し遂げたか
何を手に入れたか
どれだけ長く生きたか
そんなことに
生命の価値を求める必要はない
今日も無数の生命が生きている
自分もその中のひとつ
ただ生きて
できることがあれば
ほかの生命に少し寄り添う
それだけでいい
世界は何も変わっていない
変わったのは
世界の観え方だけだった
そして今日も
穏やかに生きている
