喉が渇いたとき
水をくださいと言えば
たぶん断られることは少ない
それが生きるために必要なことだと
誰にでもわかりやすいからだと思う
からだを維持するための
最低限のものは
思っているより静かに手に入ることがある
けれど
そこで水ではなく
スポーツドリンクが飲みたいと思うと
少し空気が変わる
さらに
銘柄まで指定して
これがいいと言い出せば
その頼みは
必要から少し離れていく
喉の渇きを満たしたいのではなく
これで満たしたい
になっていく
そこから先は
生きるために要るものというより
欲しいものの話になる
必要なものは
条件が少ない
水で足りる
それだけで済む
けれど
欲望は
条件を増やしていく
これがいい
これでなければ嫌だ
できればもっと
せっかくならより良いものを
そうやって
満たすことそのものより
選びたいこと
こだわりたいこと
思いどおりにしたいことの方が
前に出てくる
必要は
からだに近い
欲望は
思考の中でふくらみやすい
だから
必要なものは比較的静かで
欲望は苦労を増やすのかもしれない
足りることは
案外単純なのに
欲しいものは
自分で複雑にしていく
もちろん
欲しさが悪いわけではない
ただ
必要と欲望が混ざると
苦しさの理由が見えにくくなる
本当はもう足りているのに
まだ足りない気がしてしまうことがある
今日は
必要なものは静かで
欲望は条件を増やしながら苦労を生んでいくことを
ただ観ていた
